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甲状腺
甲状腺とは
甲状腺は、首の真ん中より少し下、のどぼとけの下に位置しています。ちょうど気管に張り付くような形をしている小さな臓器です。
この甲状腺からは、「甲状腺ホルモン」が分泌され、体の代謝、体温、心拍数などをコントロールしています。
ホルモンの分泌量が多すぎたり、逆に少なすぎたりすると、さまざまな不調が現れます。
こんな症状はありませんか?
以下のような症状がある方は、甲状腺の異常が原因かもしれません。
- 疲れやすい
- むくみが気になる
- 首元に腫れがある
- 動いていないのに心臓がドキドキする
- 指が細かく震える
- 暑がりになった
- 寒さを感じやすい
- 食べているのに体重が減る
- 食欲がないのに体重が増える
- イライラしやすくなった
- 肌が乾燥している
- 顔や手足がむくむ
- 便秘が続いている
- 昼間に眠くなる
- 月経が不規則
こうした症状に心当たりがある場合は、早めの受診と検査をおすすめします。
主な甲状腺の病気
甲状腺の病気には、主に以下のようなものがあります
- バセドウ病(甲状腺ホルモンが多すぎる状態)
- 橋本病(甲状腺ホルモンが少なくなる状態)
- 甲状腺の腫瘍(良性・悪性のしこり)
いずれも、体の免疫が関係していたり、首に腫れや違和感を伴ったりするため、見過ごさずに検査を受けることが大切です。
バセドウ病とは
バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に作られてしまう病気です。体内で「TRAb(甲状腺刺激ホルモン受容体抗体)」という物質が作られ、それが甲状腺を刺激することでホルモンが必要以上に分泌されます。
この病気は特に女性に多く、進行すると心臓に負担がかかることがあります。
主な症状
- 首の腫れ(甲状腺の腫大)
- 動悸・息切れ・不整脈
- 汗をかきやすい・微熱
- 手の震え
- 食べても痩せる
- 目が出てくる(眼球突出)
- イライラしやすい
- 筋力の低下
検査と診断
血液検査でホルモンの値や抗体の有無を調べ、加えて超音波検査で甲状腺の状態を確認します。
治療について
治療方法には以下の3つがあります。
- 抗甲状腺薬による治療(内服薬)
- アイソトープ治療(放射性ヨウ素を使う)
- 手術による切除
まずは薬から始めるケースが多いですが、副作用が出やすいため、定期的に採血をしながら慎重に治療を進めます。
症状によっては、β遮断薬や無機ヨウ素なども併用されます。改善までには半年〜数年かかる場合があります。
橋本病とは
橋本病は、免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が起きる病気です。
炎症によって甲状腺の働きが徐々に低下し、必要なホルモンが十分に作られなくなります。中年の女性に多く見られ、健診で甲状腺の腫れを指摘されて発見されることもあります。
症状(ホルモンが足りなくなったとき)
- 首の腫れ
- 冷えやすい・寒がり
- 顔や手足のむくみ
- 体重が増える(食欲がないのに)
- 便秘が続く
- 疲れやすい・無気力
- 抑うつ気分・物忘れ
- 肌の乾燥
- 日中の眠気
- 月経不順
放置すると昏睡状態や不妊につながる場合もあるため、早めの対応が必要です。
検査と診断
血液検査でホルモンや抗体の数値を確認し、超音波検査で炎症の程度を見ます。
治療について
多くの場合、経過観察で様子を見ます。
ホルモンが明らかに不足している場合には、ホルモン補充のための内服薬を使います。
妊娠を希望される方は、数値が低くなる前から治療を始めることもあります。
甲状腺腫瘍について
甲状腺にできる「しこり」のことを甲状腺腫瘤と呼びます。
ほとんどが良性ですが、一部には悪性のものも含まれています。
首の腫れや健康診断、CT検査で偶然見つかることもあります。
主な症状
- 首のしこりや腫れ
- のどの圧迫感
- 甲状腺の痛み
症状がある場合は、腫瘍の性質を調べる検査が必要です。
検査と診断
まずは血液検査と超音波検査を行います。
必要に応じて、細い針を使って細胞を採取する「穿刺細胞診(FNA)」で、良性か悪性かを調べます。
治療について
治療方法には以下の3つがあります。
- 良性腫瘍や腺腫様甲状腺腫は経過観察が基本です
- 圧迫症状が強い場合は、手術やエタノール注入による縮小治療を行うこともあります
- 悪性腫瘍と診断された場合は、手術が基本となります(小さな乳頭がんについては経過観察となることもあります)
最後に
甲状腺の病気は、気づかずに放置されやすい一方で、治療によってコントロール可能なものが多くあります。
気になる症状や 「ちょっと変だな」と違和感を感じたら、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
