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脳梗塞/脳出血の
退院後の生活は?
脳梗塞や脳出血といった脳血管障害を経験し、治療を終えて退院した後の生活に不安を抱く方は少なくありません。退院後の生活への影響は、症状の重さによって大きく異なります。重い後遺症が残った場合には、寝たきりになってしまう可能性もあります。
しかし、適切なリハビリテーションと生活習慣の改善によって、寝たきりのリスクを減らしたり、生活の質を高めることができると期待されます。
ここでは、脳梗塞や脳出血の退院後に大切なポイントを分かりやすく解説します。
脳血管障害の後遺症とは
脳梗塞・脳出血は、脳内の血管が破れて出血し、血液が神経細胞を圧迫する病気です。脳梗塞も同様に、脳細胞にダメージを与えます。
代表的な後遺症には、手足が動きにくくなる「麻痺」や、言葉を話す・理解することが難しくなる「言語障害」などがあります。重度の場合には、症状が改善せず寝たきりになることもあります。
後遺症の影響を最小限に抑え、生活の質を高めるためには、入院中だけでなく退院後も継続してリハビリを行うことが重要です。
脳梗塞・脳出血により発生しやすい後遺症
脳梗塞・脳出血は、その後の生活に大きな影響を及ぼす後遺症を残すことがあります。ここでは、代表的な身体的な障害と認知および言語障害について解説します。
身体的な障害
- 麻痺:脳の運動機能を司る領域に影響が及ぶと、片麻痺などの症状が現れます。これにより、日常生活の自立が難しくなる場合があります。
- 感覚障害:感覚野が影響を受けると、身体の一部や広範囲で痛み・温度・触覚の感覚が低下または消失します。結果として、日常生活での動作が行いづらくなる可能性があります。
認知および言語障害(高次脳機能障害)
- 認知障害:脳の認知機能が損傷を受けると、記憶力・判断力・注意力が低下します。認知機能が低下することで、日常生活上でできないことが増えてしまい、生活の質が下がってしまうことがあります。
- 言語障害:言語野が損傷すると、話す・聞く・読む・書くといった機能に障害が出て「失語症」が生じることがあります。こうしたコミュニケーションの障害は、日常生活に大きな負担となり、人との交流や社会活動の支障となる場合があります。
退院後の生活を支えるリハビリテーション
脳卒中後の回復にはリハビリが欠かせません。リハビリは大きく3つの時期に分けられ、それぞれに適した方法があります。
1. 急性期リハビリ(発症直後~約2週間)
この時期は体の状態が不安定ですが、何もせずにいると筋力や関節機能が低下する「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」が起きやすくなります。そのため発症直後から、体の状態に合わせてリハビリを始めることも多くあります。
発症から3か月間は神経の回復が特に活発なため、できるだけ早期にリハビリを開始することが大切です。
2. 回復期リハビリ(発症後2週間~6か月)
この時期は退院後の生活を見据えて、一人ひとりの症状に合わせた訓練を行います。
- 運動機能:筋力トレーニング、歩行練習、箸やペンを使う練習など
- 言語・嚥下機能:言語訓練、口や舌の運動による嚥下訓練
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高次脳機能障害:記憶訓練、注意力を高める課題、環境調整や家族の支援など
※脳の損傷によって、記憶力や注意力、感情のコントロールといった「高次脳機能」が低下することがあります。これを「高次脳機能障害」と呼びます。
再発を防ぐ生活習慣
脳梗塞や脳出血は再発のリスクが高い病気です。退院後は以下の生活習慣を意識しましょう。
ストレス管理
ストレスは血圧の上昇や生活習慣の乱れにつながり、脳血管障害の再発リスクを高める要因となります。日常生活の中で意識的にリラックスできる時間をつくることが大切です。
趣味に没頭する時間を確保したり、散歩やストレッチなど体に負担の少ない運動を取り入れたりすることで、心身のバランスを整えられます。
減塩食
塩分を摂りすぎると高血圧を招き、脳卒中の再発リスクを高めてしまいます。普段の食事では、味付けを控えめにする工夫や、減塩タイプの調味料・加工食品を取り入れることが効果的です。
禁煙
喫煙は血管を傷つけ、脳梗塞や脳出血の再発を大きく引き起こす要因です。
ご自身の意志だけでやめるのが難しい場合でも、医師のサポートを受けられる禁煙外来や補助製品を活用し、喫煙習慣を断つことが大切です。
節度ある飲酒
過度な飲酒は血圧の上昇や不整脈の原因となり、脳卒中の再発リスクを高めます。お酒を楽しむ場合は、量を控えることに加えて「休肝日」を設け、肝臓や血管を休ませる習慣をつけましょう。適度な飲酒を心がけることが、長期的な健康維持につながります。
生活習慣の改善を「一人で意識して続ける」のは難しい場合も多いため、医師や管理栄養士、家族のサポートを受けながら取り組むことが大切です。
最後に
退院後の生活で大切なのは、
・できるだけ早期にリハビリを始めること
・継続して取り組むこと
・再発を防ぐ生活習慣を整えること
そして、ご家族や周囲のサポートも欠かせません。小さな努力を積み重ねることで、退院後の生活はより充実したものになります。土岐内科クリニックでは、脳神経内科専門医が中心となり、退院後の生活を見据えたサポート、患者様1人ひとりの状態に合わせたポートを提供しています。
ご本人はもちろん、ご家族の方もお気軽にご相談ください。
